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腫瘍細胞生物学研究分野 平田 英周(ひらた えいしゅう)です。研究室を代表致しまして、ご挨拶と当研究室が取り組んでいる研究課題についてご紹介させて頂きます。
私は脳神経外科医としてキャリアをスタートし、悪性脳腫瘍の研究で学位を取得致しました。脳にできたがんは他の臓器と異なり、手術で治癒することが極めて困難です。人間の本質である脳を傷つけることなく浸潤したがん細胞を取り除くことが難しいからです。外科医として脳腫瘍の患者さんと向き合いつつ外科治療の限界を理解した時、悪性脳腫瘍こそ手術に加えて新たな治療戦略が必要であると確信致しました。
がんに対する手術以外の治療法として、化学療法や放射線治療、分子標的治療、あるいは免疫療法が挙げられます。どの治療法も一定の効果は挙げていますが、これらに対する治療耐性の出現が臨床的な問題となっています。治療耐性は大きく初期耐性と獲得耐性に分けられますが、初期耐性を標的とすることでがん再発の母地となる生存細胞を極限まで減らすことができれば、最終的にがんの根治を目指しうる画期的な治療戦略の開発につながるのではないか、と私たちは考えています。
初期耐性には腫瘍微小環境が深く関わっていることが知られており、その克服のためには臓器特異的な治療抵抗性微小環境の本態を明らかにしなければなりません。私たちの研究室では現在、中枢神経系特異的な微小環境におけるがん細胞と間質細胞の双方向性エピジェネティクス制御機構と分子標的治療・放射線治療に対する耐性、および神経免疫システム再構成への関わりに着目して研究を進めています。最終的には、現代の医学では治癒を得ることができない原発性・転移性の悪性脳腫瘍に対する革新的な治療戦略を確立することが目標です。
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